地元資本(ローカル・キャピタル)(1)
おはようございます。間瀬邦生です。
ここ2か月くらい「地元資本」という言葉が頭から離れません。
「地元資本による、地元のための、次の地元資本の事業を生み出すための」
そんな事業体が自分の町に欲しいのです。
リンカーンの言葉のようですが、どのような事業にしたら良いか回答の見つからない日々が続いています。
1.地元資本(ローカル・キャピタル)とは
2.地元資本の役割と必要性
3.投資事業だけでは存続できない
4.地元資本の成功例
5.成功例が当市(茨城県常陸大宮市)に当てはめられない
地元 = ローカル 資本 = キャピタル
地元の住民・事業者による出資のことです。その出資の対象は地元での起業のみであることが多いと思われます。
一般の投資会社とどこが違うのかと言いますと、お金の流れが地域内で完結する以外に特別な点はないように思えます。仕組みが複雑とか、目新しい仕組みだとかではないでしょう。
地元のためにお金を出して、地元のために使うので、それは「自治」のためのお金。行政による「税金と公共事業」と仕組みは似ています。
ですが、税金のように住民全員の出資でなく、有志によるお金で利益を追求するビジネスを行うという点で、「投資」の面もあります。
私の考えでは、行政としての役割とビジネス事業体の半々かなという印象です。
地元資本であれば、地元の投資家が、起業者をサポートできる関係性を築くことができます。よって起業が成功する可能性が高まります。地元での商売のことは地元の人に訊くのが一番。
地元資本は、外部のどんなコンサルタント会社よりも熱心で頼りになるアドバイザーです。何故なら、地元資本は身内同士だからです。
起業の成功率が高くなることにより移住希望者が増えます。
地元投資家と地元で起業を目指す人材を繋ぐこと。
起業後の経営をサポートすること。
それらの役割は大きく、地域経済のために必要な組織だと信じています。
必要な組織体だと確信したのですが、その組織に求められる力は大きく、実現に向けて考えれば考えるほどに、単に投資資金を集めるだけでは成功しないことも分かってきました。
「自分たちで事業の1つも成功できなくて、どうして他人の事業に投資したりサポートしたりできるか」
ということなのです。
地元資本は投資事業だけではなく、地元に密着した事業を最低1つは行っていなければなりません。
そして自分たちの事業を持っていない場合、仮にお金が集まったとしても、そのお金を運用する起業家が現れるまで、その組織はやることがない状態です。やることがない期間が長いと、士気は下がり組織は瓦解してしまう気がするのです。
岡山県西粟倉村(にしあわくらそん)にエーゼロ株式会社という企業があります。
自然資本事業、農業事業、建築不動産事業、ツアー事業、ローカルベンチャー育成事業、コンサルティング事業、が主な事業。
木を使った商品の販売、ジビエ等の食肉事業、ゲストハウス運営、移住起業支援、と具体的にはこんなところ。
核となる地域の特色を生かした事業を持ちつつ、新しい事業者を育てる業務を行っているようです。
エーゼロ株式会社のある西粟倉村は人口約1400人の村で、エーゼロ株式会社のグループ全体の売上が8億円だそう。
1人の従業員が1000万円の売上を生み出していると想定して、従業員の家族の数を計算してみます。80人の従業員がいて、その家族に配偶者と子ども2人がいる4人家族と仮定すると、合計320人がエーゼロ株式会社の存在により生活しているのです。
西粟倉村はエーゼロの村と言っても過言ではないと思いました。
そんなエーゼロ株式会社と西粟倉村を、私は心から尊敬しています。
まずは常陸大宮市がどういう町かということですけれど、人口約38000人ということ。住宅の密集した住宅地と、郊外の農村部に分けられます。
人口約1400人の西粟倉村とは大きく違います。
仮に郊外の農村部だけで協力するのであれば、10人の農家が共同して農業法人を設立して、それぞれの持っている売上を合算して1億円の企業を作るのは、数字上はたやすいことです。まあ、10人がまとまるのはたやすいことではありませんが…。
ですが、異なった生活様式を持ち、異なった産業の業種が存在する38000人の町がまとまるとなると、また違った事業を考えなければならないように思えます。
地産地消
地産地消は、地域経済復興の重要な価値観であると考えています。
なんとか地産地消を推進する事業を模索しているのですが、浮かぶのは地産地消ショップ(路店)の運営。なんの工夫もないのが恥ずかしいところです。
既存スーパーや道の駅とどう差別化して売り上げを確保したら良いのかと考えると、どうしても採算が合いません。
地域の商品しか扱えないということ、常陸大宮市民という市場の小ささ、店舗の家賃負担、99.9%失敗するでしょう。
消費地と生産地の産業の事業者がお互いの力を結集し、お互いの幸せを生むような事業を考えているのですが良い案が浮かびません。
今後、『地元資本(ローカル・キャピタル)(2)』というタイトルが登場したときは、きっと良い報告ができるときですので、どうぞそのときをお楽しみに。
というところで、今日はこのへんで。