毎朝ちょこっと見て、ちょこっとでも元気になって欲しい。そんな思いで始めました。

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しまった!田舎は仕事がないだけでなく、優良物件もない!(3)

 

おはようございます。間瀬邦生です。

『家がない問題』に取り組もう!と2020年8月14日の記事で宣言したにも関わらず、その問題から今まで目を背けていました。すみません。


10月から12月までの3か月間、サツマイモの収穫から干しいも作りの開始まで休みなし、年末年始まで大忙しでして…。はい、言い訳です、本当にすみません。



目次

1.地域おこしについての独り言

2.空き家があっても、住宅問題の解決になっていない

3.所有者が賃貸・売買に出したくない空き家の理由

4.住宅問題を整理

5.住宅問題の成功例

6.「人の大切な思い出」を説得するには

7.住宅問題を解決しない限り、他のいかなる地域おこしも無駄



1.地域おこしについての独り言

地方創生(=地域おこし)は、解決すべき問題が複雑に絡まっています。

仕事がないとか、耕作放棄地が増えているとか、子どもが少ないとか、交通の便が悪いとか。けっこう多岐にわたっています。

どれから手を付ければいいのか、どうにもできない問題は何か。取り組み方の分からなかった問題の整理整頓・分類が、徐々にできるようになってきたように思えます。


都市部に通勤できる田舎なら、住宅補助や子育てを充実させればいい。

仕事がない田舎なら、仕事を創り出す必要がある。

港・空港などの交通の便が良い場所であれば、企業誘致が最適。

交通の便が悪いなら、道路を作ることから始めて、次に観光客・交流人口を増やす取り組みする。まあ建設・土木はお金がかかる事業ですから、交通整備は諦めて、ひたすら地元特産品の商品力を高めて、都市に出荷して売る戦略1本に絞る。

等々のセオリーは存在します。


さて、本日ここで話したいのは、私が今非常に困っている『住宅問題』です。地域おこしに関わって5年になりますが、多くの問題が存在する中で住宅問題の重要さをここ一年痛感しました。



2.空き家があっても、住宅問題の解決になっていない

田舎の空き家問題で思い浮かぶのは、それまで住んでいた人が転居ないし亡くなられて住む人がいなくなり、その家の所有者が新しい人の入居を望んでいる状況ですよね。

そんな状況であれば、まだまだ期待が持てます。

なぜなら、町に活気を戻し住みたい町にすれば、入居者を望んでいる家に人は簡単に入ってきてくれるから。

でも今回問題にしたいのはそういう空き家ではなく、


所有者が賃貸・売買に出したくない空き家、です。


実はこのケースが結構多いのです。

これだといくら移住したい町にしても、空き家はなくならず、家を新築できる経済力のある人しか住めない町になってしまいます。



3.所有者が賃貸・売買に出したくない空き家の理由

私の感覚ですと、空き家は不動産の持ち腐れ。維持費もかかるし、税金もかかる。できることなら誰かに貸して賃料でも取りたいと思います。


でも田舎の空き家はそうではありません。


将来的に誰かが住む予定のない空き家でも、貸しにも売りにも出す意思はありません。


その理由として私が聞いたのは、

・お墓が近くにあり、墓参りのときなど、一年に1,2回は使うから

・(相続した本人は貸したくても)親族の誰かが反対しているから


私は昨年の4月から10か月近くの間、知人の田舎の住宅探しの相談に乗っていました。

何軒も家を見て回りました。うまくいきかけた物件も最後の最後で上記の理由により、契約には至りませんでした。空き家を借りることの難しさを痛感した1年でした。


つまり、価値ある資源が、地域おこしに使えない状態です。


残念な気持ちでいっぱいですが、所有者の気持ちは理解できます。その家にはそこに住んでいた人の思い出が詰まっているからです。その人が生まれ育った家であり、その人の故郷であり、その人のルーツなのですから。


私は茨城県常陸大宮市に引っ越す前、東京都板橋区にいました。幼い頃からの知人も多く、そこは私のルーツであり故郷です。35年間暮らした町を忘れられるはずがありません。その気持ちは、まさに空き家になっても手放したくない人の気持ちと同じです。


この問題を解決するためには「人の大切な思い出」に対して説得をしていかなければならず、難問です。



4.住宅問題を整理

以下、家を貸さない理由を整理します。

まずは以前の記事の空き家を貸さない理由を再掲。

(1)空き家になり月日が経ち、住めないほど老朽化している

(2)居住者が老人ホームに入っており、戻ってくるかもしれない

(3)現在居住者はいないけれども、定年退職後に移る予定

(4)空き家に戻る意思はないので、貸すのではなく売りたい


次、今回新たに分かった理由。

(5)お墓が近くにあり、一年に1,2回は墓参りのときなどに使う

(6)親族の誰かが反対している


(5)(6)の理由の場合、その家に所縁のある人がいなくなってやっと貸してもらえるということでしょうか。そんな状況の空き家に出会ったことはありませんが、きっと既に廃墟になっているような気がします。



5.住宅問題の成功例

(5)(6)の理由は置いておいて、空き家対策で成功しているらしい田舎があります。

それは山梨県か長野県かどっかの小さな村(インターネットで検索しても見つからない!)です。何かの報道番組で特集していました。


そこの取り組みはというと。

まず自治体が空き家を買い上げ(借り上げ)ます。

次に自治体が空き家を改修します。費用は100万とか。

そして家賃1万5千円/月(年間だと18万円)で移住希望者に貸します。

最終的に6年間住んでもらえれば、最初の改修費用を取り戻せます


改修費用は最終的に家賃で回収でき、とても良い取り組みの1つだと思います。

ただ、上記試算だと改修費用を取り戻せるのは早くても6年後。利益が上がるのは7年後です。民間・個人ではリスクが高く誰もやりません。だから行政がやってくれると非常に嬉しいですね。

この取り組みだけが正解ではないと思うので、この取り組みをやらなければならないというわけではないと思いますが、もしやれたなら、地域おこしは一気に加速するとは思います。



6.「人の大切な思い出」を説得するには

(5)(6)の理由の話に戻します。

空き家対策を民間がやるにしても行政がやるにしても、人の心を動かすのは熱意と地域を想う気持ち。お金を積んで解決するような問題ではないでしょう。


あなたの「大切な思い出」の土地を守るためにも、あなたの住宅を地域のために使わせてほしいです。


という熱意が大切になってくるのではないかと思うのです。


まあ、無尽蔵に資金があれば、土地を買い新築の家を建てれば良く、熱意どうこうの話ではないのではありますが…。



7.住宅問題を解決しない限り、他のいかなる地域おこしも無駄

無駄は言い過ぎかもしれませんが、私が目指す地域おこしからすると、やはり無駄に等しいものです。

そもそも地域おこしの最終目的は何か。

地域の人が減っても、残った人が豊かに幸せであることをゴールにするのであれば、人を増やす努力をする必要はなく、住宅問題は関係ないかもしれません。

でも、地域の人口を維持することを目標に掲げるのであれば、住宅不足の問題は避けて通れません。

住宅がなければ、豊かな自然があっても、魅力的な仕事があっても、生き甲斐があっても、そこに人は住めません。


「移住してくださ~い、移住してくださ~い、でも、家はありません! 家を建てられる経済力のある人だけ来てください!」


と言っているようなもの。


茨城県常陸大宮市はとても良いところなのです。

しかし移住できるのは、運よく空き家を見つけられた人か、新築の家を買えるようなお金を持っている人。

その他多くの移住希望者の住宅ニーズには応えられていません。


潜在的な移住願望を持っている人はそれなりの数いるはずです。しかし、全国のほとんどの自治体はその住宅ニーズに応えられていません。

だからこそ住宅問題を解決できた自治体は、地域おこしの先駆者になれると思います。


私は、本当にこの住宅問題に苦しめられました。だから色々考えました。こうしたら良いということも結論が出始めてきました。

この住宅問題の抜本的な解決に向けて、今年こそはその考えを実行に移します、はい、きっと、必ず!



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