部下の技量(1)上司を導く部下『尊重する』
おはようございます。間瀬邦生です。
上司が優秀であれば部下は苦労することもないのですが、世の中そう簡単にはいきません。
今回から6回シリーズで『部下の技量』についてお話させていただきますが、前半3回は不器量な上司と出会ったときのコツについて、後半3回は優秀な上司に出会ったときに自身が優秀な部下としてやっていく秘訣について、お話しします。
それでは第一回です。
人は誰しも周りから尊敬を集めたいと思うものです。
上司ともなればその気持ちはなおさら強く、地位が上がるほどその自尊心は高くなっていくでしょう。
自尊心が強すぎると、自分は部下よりも優秀でなければいけないという強い自縛の念にかられることにもなります。一旦そうなってしまうと、自分より優秀な部下は頼もしい存在でなく、自分の地位を脅かす怖い存在に思えてしまうものです。
思わず溜め息が出てしまうような器量の狭さですが、上司も人の子。そこは大目にみてあげましょう。そんな上司とうまく付き合っていくのも腕の見せ所というものです。
こういうときは、とにかく褒めてあげましょう。
営業職であれば、過去の大きな仕事を取った案件を称えるなり、技術職であれば、その人の得意分野を褒めちぎるなりしましょう。
「おっ、こいつは俺の力を分かっているな」
と思わせることで、相手の気分は良くなり、自身に対しての警戒心はぐっと緩むことでしょう。
褒めるにしても『褒めどこを見抜く』という技量も必要でありますが、それについては別の機会にさせていただければと思います。
上司との関係だけにとどまらず、人を褒めるのがうまい人は老若男女問わず周りに好かれていますよね。
一回褒めれば、一つの憎しみが消える。そう心がけて日々の生活を送りたいものです。
中国を統一して漢を建国した劉邦は、韓信と将軍の品定めをしていました。
劉邦が韓信に「わしはどれくらいの兵を率いることができるであろうか?」と聞くと、
韓信は「陛下はせいぜい十万の兵の将です」と答えます。
劉邦が「ではお前はどうなのだ」と聞き返したところ、
韓信は「私は多ければ多いほど良いでしょう」と答えます。
劉邦は笑って「ではどうしてお前がわしに捕まっているのだ(このとき韓信は謀反の疑いで捉えられていた)」と聞き返したところ、
韓信は「陛下は兵を率いることができなくても、将に対して将であることができます。これは天授のものであって、人の力のものではありません」と答えました。
自分の実力をうまく評価しつつ、それを上回る表現で相手を褒める。
こんな絶妙な言葉が他にありましょうか。
※アイキャッチ画像は「韓信画」。本文トップ画像は「韓信の股くぐり」です。