他と差をつける地域おこし(2)『移住セット一式』
おはようございます。間瀬邦生です。
地方移住をするにあたって不安は尽きませんよね。住宅、仕事、コミュニティ、その他諸々の理想と現実の不一致の可能性。
本気で田舎に移住してもらいたいのであれば、その不安を全て解消した状態で迎えられることを目指すのが、受け入れ側の誠意ではないでしょうか?
目次
1.『移住セット一式』とは
2.類似事例
3.コミュニティでの『後見人』付き
4.まとめ
自治体の移住窓口で話を聞いただけでは、何も分かりませんよね。
1日や2日の観光では、町で暮らすことの実感はわいてきませんよね。
短期間の農業体験では、農家の本当に大変さは分かりませんよね。
聞いた話や体験では、失敗してしまう可能性は高いのです。そんな可能性を低くするための『移住セット一式』です。
本気で地域に飛び込みつつ、後戻りのできるのがこのシステムです。ひとまず本格移住して、ある一定の期間を過ごしたのち、もう一度決断するタイミングを作るというシステムです。
例えば『農家セット』には、農家をやるための住宅と畑と農機具セット一式が含まれています。あくまでも仮なので、住宅と畑と農機具もレンタル料金を支払うだけです。リスクは限りなく低く抑えられます。農産物の売上をレンタル料金に充てることだってできます。
最初の3か月~1年間はお試しのつもりで、そこに住みつつ農家をやってもらいます。そして気に入ったときに本契約を結び、住宅や畑の賃貸の本契約、農機具については買い取りしてもらっても構いません。
『農家セット』他に、田舎の本当の暮らしセット『畜産農家セット』とか『地元農産物を使ったパン屋セット』等を用意します。
『移住セット一式』に近い取り組みは各地で散見されます。その一部をご紹介します。
(1)住み込み求人ナビ
住宅と仕事がセットになっている求人サイトです。このサイトの農業系の仕事はアルバイトやパートがほとんどですが、農家の正社員の求人も少しあります。
ただ、雇用を前提とした仕事の斡旋なので、自営業としての農家を体験することはできないように思えます。
(2)千葉県富津市「金谷お試しプログラム移住」
ここは移住者を迎え入れる先進的な田舎だと思います。
「3+4プロジェクト」という取り組みを官民一体となって実施しているようなのです。
土日祝日中心に3日働き、残りの4日を自由に過ごすというプログラム。
観光業が盛んな富津市は土日祝日の人手不足、それを解消するために、地元企業がお試しプログラム移住者のための仕事を提供しているという、まさに全ての人がALL-Winのシステム。
田舎に定住する決心を固めるための素晴らしいシステムに思えます。
移住にしろ、転校にしろ、転職にしろ、環境を変えたときの不安の1つは人間関係。そのコミュニティにうまく溶け込むことは心配の種だと思います。
そんなコミュニティへの適応の手助けをするのが『後見人』です。地域の慣習を教えてくれたり、何かと面倒を見てくれる人ですね。
私にも後見人がいます。
「間瀬さん、挨拶してないって悪い噂流れているよ」
後見人の方に、そんな注意をされたこともありました。
まったく身に覚えはないのですが、噂なんてそんなものです。身も蓋もないことなんてザラ。
そういう噂をそれとなく教えてくれる後見人がいれば、すぐに対応することができ、地域で浮いた存在になることはありません。
とても重要なサポートです。
『移住セット一式』の目的は以下①~③。
①お試しでない本気の移住でしか得られない答え
②理想と現実の不一致の解消
③コミュニティでの人間関係のサポート
これらを整えられたら、移住者はどれだけ安心かと!
観光が盛んな田舎、漁業が盛んな田舎、農業が盛んな田舎、特徴は違えどもどこも「良い田舎」です。そこに住んでいる人もほとんどが「良い人」です。
そんな良いものに差をつけるのは本当に難しいと思います。
でも、やはりそこに差は生じます。
その差は何か?
他より一歩だけ移住者目線で考えてあげること。他よりちょっとだけ移住者の不安に寄り添ってあげること。
そこを突き詰めていくことが「他と差をつける地域おこし」ではないでしょうか。
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