部下の技量(4)上司を支える部下『忠誠心』
おはようございます。間瀬邦生です。
一昔前の話ですが、日本の社長に『どんな人を副社長にしたいか』という質問をして、一番多い答えはなんだったと思いますか?
『会社への忠誠心・愛社精神のある人物』と答えたそうです。
たとえ才能があったとしても、いつ別の会社にいってしまうか分からない人材よりも、真面目に尽くす人材を自分の近くにおきたいと思っているということです。
そういう点を踏まえると、
『自分への待遇が悪い。辞めてやる!』
と意気込んでいる人は、自分の忠誠心について考えてみた方がいいかもしれません。
その『辞めてやる』というマイナスの感情は、低く評価されて当然なのです。
逆に忠誠心を誇っている人は、
『私はずっとこの会社に尽くしてきた。これだけの給料を貰って当然だ!』
という感情だけが先行し努力を怠っていないか注意しましょう。それは会社への甘えであり忠誠心でも何でもありません。そこは勘違いしないようにしましょう。
本当の愛社精神とは、常に自己研鑽を怠らずに、会社の利益のために向上心を忘れないことです。
いざというときに裏切らず、会社が傾いたときもその会社が倒れるまで働く覚悟ができている人物はその『気持ち』を持っているだけで、会社にとって貴重な存在だということを自覚していいと思います。
強い『気持ち』は、技術・才能に匹敵する『力』だということを多くの経営者は認めているのです。
今となっては『終身雇用』という単語も死語となっていますが、終身雇用の関係で育まれた『忠誠心』は確かに企業の力でありました。
もし私が社長であれば、当然技術を持った従業員も必要ですが、同じくらい会社を愛してくれる従業員も必要と思います。
古今東西どの国の歴史の眺めてみても、降伏を繰り返し、主君をたびたび替える人物が評価されることはありません。
今から二千二百年前、中国に漢を建国した劉邦が最後に国の運営を託したのは、漢楚の戦いで多大な功績を残した将軍たちでも身内でもなく、秦打倒のときに共に旗揚げをした一番信頼の置ける将軍でした。
その将軍の名は周勃(しゅうぼつ)といいますが、建国の功績は韓信や英布といった将軍よりはるかに劣ります。
最終的に韓信や英布は劉邦に謀反を企てて誅殺されます。
一方で周勃は国家の存亡を左右する反乱を鎮める活躍を残しました。
やはり劉邦の見る目は正しかったということでしょうか。