小売をしてみて気付く、売れるもの売れないもの実例
おはようございます。間瀬邦生です。
二拠点居住の生活で田舎と都会を行き来していると、農産物ビジネスの匂いをぷんぷん感じる今日この頃。
その匂いを確かめるために、今年の9月より産地直送野菜の販売(アンテナショップ)を月2回ほど始めました。その経験から感じたことをお伝えします。
※以下の内容に、商品の売れ行きに関する記述がありますが、地域により商品の嗜好(≒売れ行き)に差が出る点はご承知置きください。
1.ビジネスになると感じた理由
2.サイズが違うだけでも人は躊躇する
3.ちょっと珍しいと売れるが、すごく珍しいと売れない
4.商品の総重量が同じ場合、規格外で安い方が売れる
5.最後に
(1)田舎の野菜は安くて大きい
実物を見てもらえれば分かりますし、ご説明不要かと。
(2)廃棄、規格外野菜
私の独自の農家への聞き取り調査によりますと、農協という流通に卸す段階で、約4割の規格外野菜が発生し、それは流通に乗りません。
そして流通過程でも、いくらかの廃棄が発生すると過程します。
最終的な小売であるスーパーの従業員への聞き取り調査によりますと、野菜等生鮮食品は約3割が廃棄されるそうです。
計算すると、生産されたものの半分以下は消費者へ届かないことになります。
(3)世界人口は増えているのに、耕作放棄地が増えている
世界の食料生産の問題です。グローバルな視点で見ると、将来の世界の食料は枯渇すると予測されています。食料需要が増える見込みだというのに、日本の耕作放棄地は増え、食糧供給は減少しています。土地の養分や降雨量など、日本は農業に適した条件が揃っているのにです。矛盾があるところにビジネスチャンスありです。
カブと小カブで、消費者の反応に違いがありました。
『小カブはどうやって食べるのか』という質問が多いのです。都会では小カブは馴染みが薄いのでしょう。馴染みが薄いということ、普段見ているものと(サイズが)違うということ、それだけで人は購入に対するハードルが上がっているのだと感じました。
キクイモという商品を置きました。
まったく売れません…。調理法や健康効果を説明しても売れません。
おそらくキクイモの認知度が低いことが問題です。珍しすぎたため売れなかったのだと思われます。
サツマイモの珍しい品種を置いたところ、順調に売れました。
『あんのうみついも』
『あやこまち』
『紅ゆうか』
『シルクスイート』
聞いたことのない品種でも売れていきます。どんなに珍しくてもサツマイモには変わりありません。味や調理法が予測できるので安心感があるのでしょう。
品種が違う程度の珍しさが、消費者の購買意欲を最も刺激するということだと思いました。
キクイモに関しても、前日のNHKでキクイモ特集などが放送され、認知度が上がっていれば売れ行きはまったく変わっていたでしょう。
サツマイモの形が良く太いものを袋に詰めて200円、形が悪く小さいもの(規格外)を袋に詰めて150円。総重量は同じです。
結果、形が悪いもの(規格外)の方が、形が良いものの2倍くらい売れました。
50円の違いだと、形が悪いもの(規格外)を選ぶ人の方が多いのです。
この事実は、消費者が求めているものがスーパーなどの市場には出回っていないということを意味しているのかもしれません。
次回は同じ価格を設定してみようと思います。
というところで、今回は価格とサイズ感と希少性の関係性について、感じたことをまとめました。
商品エピソードや商品の栄養情報を伝えるなど、小売に関する手法は多く存在します。
小売は行動心理学との関連性が強いと言われており、購入にいたる心理、そこには法則があります。
行動心理学の追究は私の趣味でもあり、小売を通して新しい発見がありましたら、この場で今後もご報告させていただきます。