「沢暮らしの旅人」を読んで
おはようございます。間瀬邦生です。
雨が多いですね。晴耕雨読という言葉もありますし、久々に本の話を少々。
常陸大宮市での暮らしを描いた「沢暮らしの旅人」は、私に縁のある人が書いた本です。
著者である故.秋元幸久氏には30歳前後の息子がいて、その息子は私の農場に仕事にきています。
著者と息子と、息子の雇い主でもある私。
この本をおすすめするとか、この本が地域おこしのバイブルだとか、そういったことではありません。
故人への想い、息子との関係性、色々な感情が湧いてきたことを書きます。
若い頃は、サーカス団で半年間働き(ノルウェーのサーカス団とのこと)、あとは世界各国を放浪するという日々。長女の誕生とともに定住を考え、都会でしばらく生活したのち、山方町(現.常陸大宮市)へ居を構えます。
文明や貨幣経済や都会の生活を肯定もしないが否定もしません。電子レンジは使うけど、ガスコンロは使わず竃で煮炊きをするなど
家庭菜園や山の薪で自給自足に近い生活を送り、生活するに当たり必要なお金だけは働きに出て稼ぐという生き方です。
1年のうち8か月働き、4か月は自分の自由時間に充てる。とも書いています。
あくせく働くことはしません。
そういう生活の日々について書かれていました。
著書内では、「便利な文化製品をかなり排除したシンプルライフ」と述べています。
この本の話は、長男である息子の誕生で終わります。シンプルライフが終わるわけではなく、本のページが終わるということで、著者はその後もずっとシンプルライフを続けていたようです。
息子の誕生から30年が過ぎ、息子は立派に成長し、各農園での複業を行っています。それぞれの農繫期に仕事に行き、どこの農園も仕事のない完全な農閑期には、海外に一か月くらいバケーションに出かけています。
本人はそんな生き方に「父の影響を受けている」と言っていました。
海外生活も長く、英語も堪能であり、定職に就けばそれなりに稼げる人材だと思います。
尚、偶然にも息子さんの誕生日は、私と1日違いです。同じ日だと気味が悪いですが、1日違いだと縁を感じます。
この本を貸してもらったとき、息子は「間瀬さんは、父と思想が似ている」と言っていました。
私自身、シンプルライフを心がけている面はあります。断捨離は好きですし、無駄なものを買ってしまったときの後悔は強いです。ECOかケチかは分かりませんが、ガスや電気の使用も抑えます。
秋元幸久氏は生き方としてシンプルライフを選び、私はビジネスの主題・理念としてシンプルライフを選びました。
ビジネスの発想を除いたとしても、私の根底にシンプルライフが存在するのは確かです。でも田舎に来なければ、その哲学はこれほど表面化しなかったでしょう。
自分の哲学を仕事に一致できたことで、仕事が趣味(≒生き方)に変わったように思えます。
ちょっと前の記事に私が知人の農場の手伝いに行っていたと書きましたが、その農家然り、秋元幸久氏の息子然り、だんだんと農家仲間が増えています。
気の合う仲間と気持ちよく働けていることは幸せですが、稼ぎはまだまだ多くありません。
でも、親密になっていくうちに、一緒に仕事をすることが増え、仕事の効率も上がり、大きな仕事をできるようにもなります。結果として稼ぎも増えていくことでしょう。
大きく稼ぐのはシンプルライフの思想そのものとは言えませんが、経済的な豊かさはシンプルライフとは別次元の話。
豊かな田舎暮らしの実現のため。そんな田舎にするため。もう少しのところまで来ているのかもしれません。
※ 秋元幸久氏の本は、ネットでも買えますし、電子書籍でも買えます。